2012年09月19日

脱原発をなぜ私が訴えるか Vol.4【改訂版】

原発の立地に疑問

konbi.jpg 水力・風力・地熱発電所は、その地の利で限定的にしか設置できませんが、火力発電所は全国どこにでもあります。京浜・阪神コンビナートにはたくさんの火力発電所が並んでいます。しかし、原子力発電所は東京、大阪、名古屋、福岡などの大都市にはありません。電気をたくさん使う大都市や工業地帯に発電所を造れば送電コストが低く、電気料金も大幅に低くなるはずですが、わざわざ何百qも離れた過疎地に発電所を建て、長い送電線を敷いて都会に電気を送るのは何を意味するかは説明するまでもないことでしょう。東京電力の福島第一・第二原発や柏崎刈羽原発は東京から遠く離れた東北電力のエリアに建てられました。また2011年1月、青森県の下北半島に東通原発1号炉の建設に着手(現在は中断されていますが)。関西電力も11基の原発を関西圏に造ることができず、北陸地方の福井県若狭湾などに建設したのです。
 国の原子力委員会が定めた「原子炉立地審査指針」の3つの条件は、「原子炉から一定の範囲内は非居住区域であること」「その外側は低人口地帯であること」satoyama.jpg「原子炉敷地は人口密集地帯から離れていること」と定められています。福島の事故が万一、東京や大阪、あるいは名古屋や福岡に建設されていた原発で発生したら、どんな事態が起きることになるでしょうか。日本の経済は回復不能の状況下におかれるでしょう。

 日本政府は、原発事故の賠償制度について先輩格のアメリカの「プライス・アンダーソン法」(1957年制定)を見習って、1961年に「原子力損害賠償法」を制定しました。そしてイギリスから原子炉を購入し、日本初の東海原発1号炉を運転開始したのです。原子力損害賠償法が最初に設定した賠償措置額は50億円でしたが、この法律はほぼ10年ごとに見直され、2009年には賠償措置額は1200億円としました。ところが、福島原発事故によって福島県内の被災者や関連する企業などに支払われる賠償額は比較の度を超えた莫大な金額となります。そして、賠償能力を超えた東京電力は実質国有化され、国民には増税を強いさせる結果となりました。そして電気料金の大幅な引き上げとなり、結果的には国民が総て負担することになりました。 

 地球温暖化防止が叫ばれるようになって以来「原子力は『発電時に』二酸化炭素をださない」と遠まわしの表現するようになりました。実は、実際原子力発電はおびただしい二酸化炭素を出しているのです。ウランの精錬はその鉱石の0.7%しか含有されていません。ですから、ウラン235の濃縮には多大な石油による火力発電所のエネルギーを費やしているのです。また、「死の灰」を毎日生み出し続けています。
原子力発電所の発電量が100万kWだとすると、原子炉の中では300万kWもの熱が生み出され、3分の2は冷やすために海水に放出されます。これは、日本の全河川から海に流れ出る水を約2℃近くまで上昇させる計算になります。いかに地球温暖化に影響を与えているかです。
doumu.jpg 原発の基となるのは原子爆弾でした。ナチスの支配するドイツはアインシュタインら優秀な科学者たちに原子爆弾の開発を命じました。しかし、アインシュタインらはアメリカに亡命し、総額20億ドル、当時の日本の一年間の国家歳出に及ぶマンハッタン計画を実行に移したのです。それが広島・長崎での原爆投下です。広島では推定14万人・長崎では7万人の尊い命を瞬時に失わせしめ、生き延びた人々は「ヒバクシャ」という宿命をおびた生活を強いらせられたのです。

 高速増殖炉は使用済み核燃料を再処理し、しかも発電しながら消費した以上の燃料(プルトニウム)を生み出せると科学的論拠はありますが、それは実現不可能と多くの識者は言及しています。
 日本は1977年から「常陽」と呼ばれる実験炉の運転を始めましたが、現在は事故で停止中です。福井県敦賀市に建設し設置された「もんじゅ」は1994年から動かし始め、その翌年には40%の出力まで上げた途端に、事故が発生しました。それから14年以上も動かすことができず、一昨年2010年5月に動かし始めましたが、事故の連続でいまだに1kWの発電も出来ず、すでに1兆円を越える金を使い尽くしています。
 日本は使用済み核燃料の再処理をイギリス、フランスに委託しています。長崎型の原爆4000発も作れるプルトニウム45トンを保有しています。プルトニウムは核兵器に転用できるのですが、日本はプルトニウムを持たないことを国際的に公約させられています。そのため、「熱(サーマル)中性子炉」でプルトニウムを燃やす「プルサーマル」計画を実施に移さざるを得ないのです。福島第一原発では3号機がプルサーマル運転しておりましたが、このプルサーマルは原発の危険性を飛躍的に増大させているのです。そのために青森県六ヶ所村の再処理工場ではその始末に追われており、プルトニウムを燃やすための全炉心にMOX燃料を装荷する世界初のフルMOX原発・大間原子力発電所の建設が進められているのです。

 大地震は太平洋を囲む太平洋プレート線上と、中国から地中海へ抜ける一帯に集中して起きています。それ以外ではめったに地震は起きません。150基の原発があるヨーロッパは地震の起きにくい地盤の上にあり、地震は過去ほとんど起きていません。またアメリカは地震のあまり心配のない東部海岸に原発を100基設置されています。
 青森県六ヶ所村にある使用済み核燃料再処理工場には、すでに使用済み核燃料が約3000トンも国内54基の原発基地から運び込まれ、実に100年分の放射能が溜め込まれています。再処理工場では燃料棒を細かく切り裂き、硝酸に溶かし、化学的にプルトニウムを分離します。この工場は、フランスから技術を導入して1981年に操業を開始した東海再処理工場の実績を生かし、日本独力の建設を計画しました。日本は敗戦後サンフランシスコ条約締結までの間、核兵器用のプルトニウムの抽出を禁じられていたため、高度な軍事技術を必要とする再処理技術を完全に自分のものとすることができませんでした。結局フランスに依存するしかなかったのです。しかし、六ヶ所村の再処理工場が今年の10月に予定している操業開始は困難となっています。

 高速増殖炉「もんじゅ」は、ウランからプルトニウムを効率的に作り出すための特殊な原子炉で、原子炉を冷やすために水を使うことができず、ナトリウムで冷却しなければならないのです。ナトリウムは水に触れると爆発し、空気に触れると火災を起こすという化学活性が非常に強い物質なのです。東日本大震災のような規模の地震に直撃されたら、恐らく何の対処もできないまま破局を迎えてしまうことになります。「もんじゅ」の破壊力は人類史上予測できないものであると言われています。
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【参考文献】
小出裕章(京都大学原子炉実験所 助教授)著「原発のウソ」
原田泰(早稲田大学政経学部 教授)著「震災復興 欺瞞の構図」
他科学サイエンス機関誌

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