2012年09月24日

脱原発をなぜ私が訴えるか Vol.8【改訂版】

原発に依存しない社会

24_1.jpg 電力発電については、莫大な設備投資の必要性があるため電力会社には地域独占が許されてきたのです。しかし今や技術革新、特にITの発展により発電部門には新規参入が可能となりました。問題は、送電設備に莫大な設備投資を要することをどうするかなのです。ですから、今日の発電ビジネスをやっている巨大独占企業の電力会社が、同時に送電線を持って「優越的地位」にありますが、それをいかに打破することができるかです。事実、電話・通信サービスの事例からもおわかりの通り、回線が開放され、電気通信事業者が新たに参入し結果、競争による効率化・コスト減で大幅な料金引き下げが実現しています。24-3.jpg日本の電気料金は、イタリアに次いで世界で2番目に高いのです。家庭用、産業用ともアメリカや韓国の2倍以上ですが、発送電分離によって電力会社による市場の独占がなくなり、競争が起きれば、電気料金はおのずと下がります。日本には、鉄鋼や化学会社が保有する自家発電所などの、「埋蔵電力」が6000万キロワット程度あります。こうした電力は燃料コストの高い火力が多いため、非常用電源として使われていますが、盛夏のピーク時の計画停電に対応する電力供給源として活用が可能なのです。脱原発依存社会とは、エネルギーを安全・安定的に確保することであり、その責任は国にあります。
電気料金を安くするには、自然再生エネルギーの規制を撤廃し、周波数の全国同一化などを図り、新・再生エネルギーの開発が促進されることで、脱原発意識へと電力供給構造の転換を図っていかなければなりません。例えば、送電網にスマートグリッド(IT制御の双方向送電網)とスマートメーター(家庭等の電力消費管理機器)を導入すると、飛躍的に省電力・省設備投資が図られ、生活様式も一変し、20%の節電効果が期待されるとの試算もあります。
24_2.jpg 日本の再生可能エネルギーの普及状況は、他の先進国より遅れている感を否めません。水力発電を入れても再生エネの発電比率は10%程度です。この出遅れの原因は、次の事が考えられます。1つは自然再生エネルギーの支援制度がなかったこと。7月11日から、再生エネ電力を所定の価格で電力会社が買い取る固定価格買い取り制度(FIT)の導入が始まりましたが、これが遅きに失していました。次に電力会社による送電線の独占問題です。諸外国では電力会社に再生エネ会社との送電線接続を義務付けている国は多いのですが、日本はそれがダメでした。そして、どんな小さい発電設備にも主任技術者が必要とか、風車に高層ビル並みの耐震性を建築基準法で規定しているなどの不合理な規制が多過ぎ、新規参入を狙っているそのものを拒んでいたからです。シェルガス革命は、石油・天然ガス産出国であるロシア、中東諸国のエネルギー支配力を弱め、世界の軍事面を変える要素も出てきました。日米安全保障同盟国としての日本にとって、対エネルギー問題はプラス方向に進むでありましょう。原発の再稼動を止めて、当面は既設の火力発電にシフトを移し、地道かつ果敢に自然・再生エネルギーへの移行を進めなければなりません。特に太陽光エネルギーは、国際的には発電能力1キロワットの太陽光モジュールが2年前には10万円しましたが、今は5万円ぐらいになっています。早ければ5年、遅くとも10年以内に、水力・火力などの発電と同じコストまでに低下するでしょう。巨大技術の原子力発電は逆にコスト高となります。技術革新が遅い上に安全規制の強化や製造技術の劣化でコストは上昇するだけです。電力消費者側はIT(情報技術)を駆使しつつ、他の電源をミックスすることで十分な安定性を確保しながら節電や省エネで効率を高め、今より30%電力消費を減らし、残り70%のうち、30%を風力と太陽光を中心とした再生エネルギー、40%を全世界で莫大な埋蔵量が確認されているシェルガスなどの天然ガス中心の火力発電や日本の地底で眠っている地熱発電でまかなうことができれば、原発は必要なくなります。
Vol.1へ初めから読む

【参考文献】
小出裕章(京都大学原子炉実験所 助教授)著「原発のウソ」
原田泰(早稲田大学政経学部 教授)著「震災復興 欺瞞の構図」
他科学サイエンス機関誌

adobiicn.gif「脱原発をなぜ私が訴えるか」をダウンロードし、纏め読みをする。
PDFでご覧いただけない場合の対処方法はこちらか
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。